とある科学の超電磁砲 第9話感想・考察個人的まとめ
第9話が恐ろしく面白かったから,ブログ界隈も盛り上がってる.
いや〜いい回だったw
山内重保の演出関連
山内重保の演出は,正直自分で見てるだけじゃ気づかない部分が多くて,ほかの人の記事を読むのが楽しい.
とある科学の超電磁砲9話をキャプつきで語りまくる - まっつねのアニメとか作画とか
もう山内回は見れば見るほど書くネタが思い浮かんで困る
(中略)
とある科学の超電磁砲9話〜サテンの心とカメラの不安定感 - まっつねのアニメとか作画とか*1
(中略)
サテンの心情表現の方を見ていきましょう。
まずあれ?というのが
カメラがあっち行ったりこっち行ったり。
特にスカートめくりのカットが異様。
このイマジナリーラインの超え方は気になってたんだけど,なるほど.佐天の迷いを表してるのか.
『とある科学の超電磁砲』第9話が面白い〜佐天涙子と白井黒子〜 - あしもとに水色宇宙
Bパートラスト、佐天涙子は友人たちと出会う。このシーンの舞台は前の日記で書いたように多摩センターに実在する場所。ここでの彼女は上昇することなく、一貫として下降する。坂を下り、階段を下る(図4)。それはまるで彼女の現在の心情と被るよう。高架下で悩んだりと、場所が人物と密接に関係しているのかも。
http://d.hatena.ne.jp/ike_tomo/20091128/1259418844
会話シーンではアップの多用で画面的に息苦しかったり、セリフの間をゆったり取りすぎていてテンポが悪かったり、バトルシーンでは黒子と不良がチンタラ喋っているせいで緊張感が削がれてしまっていたり。
他にも、ファミレスの帰りでの「そろそろ支部に戻りませんと」という黒子のセリフの際に、振り返ったまま2.3秒硬直したまま喋り続け、その後に佐天と美琴がいないのに気付く、という不自然な演技だったり。
カーブミラーとか三角ポールとか画面の色使いだとか、気になる点は多いのだけれど、それ以上に「生理的な気持ち悪さ」が前に出てきてしまっていて、自分には良いとは思えない演出だった。
http://blog.ajin.jp/2009/11/29/project-railgun-episode9-review
*2
ご覧の通りテーブルを境に黒子・初春・美琴の右サイドと、佐天さんと木山先生の左サイドに分け隔てられたのだが、ここで初春とともに同じ店外に立っていた佐天さんが初春と引き離されることになります。そしてドリンクの色までもが見事に左右で分断されている。ここで彼女たち佐天・初春ペアが画面に侵入するまでにしきりに挿入されたそり立つドリンクのカットに思い至るのです。黒子と美琴という能力者の二人に挟み込まれた初春は、まるでメロンソーダの緑とコーラ(あるいはコーヒー)の黒を混ぜ合わせたかのようなオレンジで揺さぶられていたのかもしれません。少なくとも同じ仲間だと意識していた佐天さんにとってはわずかばかりの不安と孤独を胸に抱いた、という点でこの隔たりは意味を持っていたといえるでしょう。
佐天とウテナとトップ2
山内重保の演出以外にも結構反応が多い.というかやっぱり,『持てる者と持たざる者』っていうテーマはみんな引っかかるんだね.
http://d.hatena.ne.jp/curry14/20091129/1259511080
佐天は自分の目標とする「能力者」に憧れる。これはもう避けられない事実。するとですね、佐天のなかで自然と目標のすり替えが起こるんです。能力者になるだけではない。初春や美琴や黒子の所属するジャッジメントに属したい。これはもうどうやったって避けられない。自分の意識する人間から受ける影響というのは絶大で、否応なくその人の意志を左右する。
僕らは佐天のような中学生より長く生きているから、そのことをもうよく知っていると思う。夢に現れるくらいに憧れる。そして、憧れることがどんなに希望に満ちて、同時に挫折と葛藤に満ちたものなのか知っている。
佐天はものすごくジャッジメントに憧れているんです。でも、能力0じゃジャッジメントには入れない。どうしたらいいか?
レベルアッパーに手を出したくなる気持ち、僕は分かるなあ……。
俺もすごいよくわかる.
つか,佐天はよく我慢してる.
「貰い物の力を自分の実力と勘違いしている貴方方に云々(黒子)」「並々ならぬ努力によってレベル5呼ばれる力を得たんですの(黒子)」とか「レベルなんて関係ないじゃない(御坂)」なんて
発展途上国の子供たちに対して「お前らは努力してねぇから貧乏なんだ!」って言う金持ちと,「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」と言う節操なしのと同じだと思うんだよね.
能力者がこんなことをヘロっと言ってしまうようでは……恨まれて当然だろうw
とある科学の超電磁砲 第09話「マジョリティ・リポート」 - エネルギー吸収と発散
初春や黒子はジャッジメントとして頑張ってて、美琴は最強無敵の電撃姫・レベル5の能力者で、自分だけが何の能力も肩書き持たない一般人。美琴は「レベルなんて、どうでもいいことじゃない」と言うけど、それはレベル5のあなただからそう思うだけ。レベル0の自分の気持ちを分かってくれる人なんていない。親友の初春ですら、自分と同じ視点で話すことはできない。
そんな佐天の手に今、レベルアッパーがあるんだよ。力があれば、他人を守ることができる。自分にどんな能力があるのか知ることができる。そして、大切な友達と同じ世界で生きることができる・・・。
この誘惑に抗える人間なんて、どれだけいるだろう。
(中略)
そうなんだよなあ、自分で「レベル0の自分の気持ちを分かってくれる人なんていない」なんて書いて気づいたんだけど、佐天には誰も味方がいないんだよなあ。初春は自分のことでいっぱいいっぱい、黒子は佐天を悪漢から助けて満足、美琴は見当違いのフォローを入れる・・・。佐天さんが何に傷ついていて、何を欲しているかを分かっている人が誰もいないんだよね。
ダークさの強調と佐天涙子と とある科学の超電磁砲 第9話より - TinyRain
ただこれの引き金になった一番の出来事は、美琴の「能力なんてどうでもいい」の一言だったり。美琴は短期間でレベル1からレベル5になったのにも関わらず、何故か能力に依存しておらず、あれはよく分からない。
それが少々言い方が悪いですが佐天さんからは『持てる者の余裕』に見えたのでしょうなぁ。
ほんと,佐天に感情移入してしまうわ……
とある科学の超電磁砲 9話 「マジョリティ・リポート」感想
能力が高ければよいとは限らない
美琴が佐天さんに言った「レベルなんてどうでもいい」という言葉は、高い能力を持っても幸せとは限らない事を、美琴が知っているからと思われます。
これについては若干の異論がある.
無能力について〜電磁砲とウテナ〜 - まっつねのアニメとか作画とか
橋本:特別な人がどうして「特別」かというと、何かが欠けて特別になっているわけですよね。マイナスの意味で「特別」なんですよ。若葉とかは、特別な人に憧れるんだけど、その特別な人達はじつにシンドイ目にあっている。
風山:若葉は、自分の生活にも内面にも欠けているものがない。
橋本:欠けてないですね。それは幸せなことです。
ウテナは,確かに持てる者の欠落してる部分が多くある.
トップ2なんかもそう.
ろくさん (@n_euler666) | Twitter
トップ2のように「アガリ」があれば,能力を失って普通の人として生きていかなきゃいけない・・・という苦しみがあるけど,レールガンの世界にゃない.
レベルゼロは「アガリ・没落」さえない特権階級の人たちを見上げながら生きていかなきゃならない.そんなちょっとした救いすら用意されていない不公平で不条理な世界で踏みとどまらなきゃいけない.
トップ2の世界の持てる者は,アガリという恐怖があり,戦争に行かなきゃいけないという制約もあって,決まりでもって束縛されている存在だから,持たざる者は自分の立場で幸せを見つけることができるかも知れない.
畏怖すべき対象になっても,憧れる存在にはならない.
けど,レールガンの世界には持てる者のデメリットがない.
先のエントリでは,持てる者の中でもさらに特別な存在が抱えているデメリットを挙げてるけど,それは特例中の特例.
とある科学の超電磁砲 山内重保の演出 - WebLab.ota