「諦める勇気」とは?希が抱える課題を考える

ラブライブ!二期は何を語り出すのか - WebLab.otaのエントリで、希って明確な課題(乗り越える壁)って無いよねということを書いたけど、本エントリではもうちょっと掘り下げて考えてみる。

引っかかり1 「山で一番大切なのは、諦める勇気」

希ってどんな娘だろうか?何か問題があるのだろうか?って考えてると、やっぱり引っかかるのは、二期2話のこの台詞。
希は今までもμ'sメンバーにアドバイスをしてきてるけど、ここまで引っかかる発言をした記憶は無い。
この発言は、二期のμ'sの行く末を暗示しているのか、はたまた、希の考え方を提示しているのか、この発言だけではちょっとわからない。
でも何かありそう。そんな引っ掛かり。

引っかかり2 中立であり続ける希

上の発言よりは引っかかるところでは無いけれど、実はもう1点、希の行動で引っかかるところがある。
それは一期13話。穂乃果の「スクールアイドルやめる」発言をめぐるμ'sメンバー各人の考え方がわかるシーン。


希「本当にこれでよかったんかな」(左図)
エリチ「9人いないんじゃ、μ'sじゃないって言ったのは希でしょ?」
希「そうやけど……」(中央図)
ニコ「活動休止!?」(右図)

3年生3人の考え方が綺麗に分かれてる。
エリチは一人でも欠けたらダメだっていう原理主義者。
ニコは誰が欠けようが関係ない過激派。
希は中庸。
次のシーンもこの関係を象徴している。


エリチ「正直穂乃果が言い出さなくてもいずれこの問題にはぶつかっていたと思う。来年までだけど、学校が存続することになって、私達は何を目標にこれから頑張るのか」(左図)
エリチ「考えなきゃいけない時が来てたのよ」(中央図)
ニコ「あんたたちはどうするつもり?」(右図)

このシーンで上手いのは、左図で希をフレームの外に置いてるところ。
普通なら、ここはエリチと希が二人で帰ってるシーンを撮ればいいだけなのに、わざわざ希を外してる。
ってことは、ここには演出上の意味があるはずで、意味は「エリチの意見に同意していない」だと思う。
で、やっぱり、立ち止まって考えよう派なエリチと一人でもガンガン前へ進むニコ、そして中立な希……という関係を表している。

問題1 自分の意見が言えない希

この中立であり続ける希は、2つの問題を内包している。
1点目は、自分の意見が言えないという問題である。

ラブライブ!二期は何を語り出すのか - WebLab.ota
また、この娘は海未のように穂乃果に自身の夢を預けたわけではなく、「占い」に夢や希望を代弁させている。
※ この「占い」がどの程度希の本心を反映しているのかよくわからないが……
しかし、一体何故彼女は「占い」という皮を被り、自身の言葉で夢や希望を語ろうとしないのかは不明だし、もしかしたら、絵里と同じように「自分の言葉で語らない」ことによって、何かから身を守っているのだろうか?

なんて書いたことがあるけれど、希は自分の意見を「占い」という形で語る傾向にある。


この占いについては、スクールアイドルダイアリーでこんな書き方がされている。

ラブライブ! School idol diary ~東條希~
ラブライブ! School idol diary ~東條希~
「ウチ、占い得意なん。試してみる?」
たいがい、わーきゃー言う歓声がいっせいに返ってきて、ウチは一瞬で新しい輪の中に入ることができる。
これは転校を繰り返すうちに身についた、ウチのちょっとした処世術やんな。
(中略)
そんでも−−−やっぱり新参者やから。
ふっとエアポケットに入ってしもたみたいに、周りが真空になるときがあるねん。

いや、この本2日前に買ったんだけど、驚いたね。
なるほど、希にとって占いは新しい環境に馴染むためのインタフェースで、そのインタフェースに依存しすぎた結果、真の友達と呼べる人が出来なかった……というタイプの娘なんだね。
μ'sの母の以外な事実。
でも、これは乗り越えるべき壁だね。

問題2 母として中庸であるのはいいが、自分で危険なところに踏み出せない希


μ'sの母として迷える子羊を導いてきた希。
でも、占いを捨てて、小細工なしで人の輪の中に入っていけない臆病な希。
ニコや覚醒後のエリチのように自分の考えをはっきり言うことができない希。


たぶん、「山で一番大切なのは、諦める勇気」って発言は、この母として中庸である希と臆病な希を象徴する言葉なんだろうと今は思っている。
果たしてこれは希の課題として噴出することがあるのだろうか?
でも、占いに頼らない希ってのはいいなぁ〜かっこいいと思うよ、俺は。