ハイブリッドP2Pを使ったアニメビジネスを考えてみる

らき☆すたでみるプロダクト・プレイスメントの可能性 - WebLab.otaDVDが売れない時代のアニメビジネスを考える - WebLab.otaビジネスモデルとしてのオープンソース現象 『アイドルマスター』 - WebLab.otaで考察してきた,”DVDが売れない時代のアニメビジネス”を性懲りもなく考えてみる.
今回は,ハイブリッドP2Pを使ったストリーミング配信をアニメビジネスに適用できるのではなかろうか,といった趣旨のものです.

Joost

ハイブリッドP2Pを使ったストリーミング配信・・・もちろんこれはhttp://www.joost.com/のことなのだが,この技術を使ってアニメをストリーミング配信してはどうだろうか?
Joostとは

P2Pを使ったインターネットテレビ配信システム。 KazaaSkypeの作者である、ニクラス・センストローム(Niklas Zennstrom)とヤーヌス・フリース(Janus Friis)によって作られた。
Joost - Wikipedia

高画質な映像とインタラクティブなインタフェースが特徴。主に大手メディア企業からコンテンツ提供を受けることで、充実したコンテンツを揃えるとともに、ユーザー投稿の禁止やファイルの保存禁止などの手段により著作権問題をクリアしている。
404エラー アクセスしようとしたページが見つかりません - WISDOM

といったサービスを提供している会社およびアプリケーションで,2007年1月16に設立されている.

このJoostYouTubeなどとは違ってハイブリットP2Pにより,負荷が分散されるので,サービス提供側が大容量のHDDや世界中からの要求に耐えられる超巨大なストリーミングサーバ,超高速な通信回路を必要としない.よって,設備投資なんかが非常に抑えられる.*1
そして,負荷分散できたことで,高画質なストリーミング配信も実現可能だ.

見た目の印象はDVDよりやや悪いという程度だが、映像は安定しており、ブロックノイズや途切れが発生しない
P2Pテレビの「Joost」を試してみた − @IT

図1
このJoostのシステムをアニメのストリーミング配信に利用してはどうだろうか?

ハイブリッドP2Pでアニメを配信する理由

まず,上述しているが,費用が非常に安く動画配信ができること,そして,ユーザがどの映像を見ているか?といった情報は取得できるところにある.ピュアP2Pではなく,ハイブリッドP2Pを利用するのはこのためだ.


WinnyGnutellaといったピュアP2Pを利用しているシステムでは,どのユーザがどのファイルを持っているか?や,どのユーザがどのファイルをダウンロードしているか?といった情報が収集できない.
また,ピュアP2Pではネットワーク内のデータを検索できることが保証されない.
(Ž©—¥•ªŽU‹¦’²˜_ *2 )

その点ハイブリットP2Pならば,検索はサーバで行うために,どのユーザがどのファイルを持っているのか?や,どのユーザがどの動画を見ているか?といった情報がわかるし,ネットワーク内にあるデータを追加したり,削除したりすることがサーバ側で管理が可能だ.

アニメへのアクセス権を売る

Joostではこういったシステムを使って,テレビに代わる広告媒体になることを志向している.

定期的に流れる広告を見なくてはなりません。その代わり無料です。Joostが広告主にとって素晴らしいのは、視聴者はIP(Internet Protocol)アドレスを使って接続しているので、みなどこにいるか正確に分かることです。また、彼らが過去に何をどれだけの間見たかということも分かります。このため、何百万というテレビ視聴者に同じ広告を流すのではなく、広告主は正確な、視聴者に合った広告を、特定の個人に向けて流すことができます。
「iTunesがDVDの代わりならJoostはTVの代わりに」--Joostの新CEOインタビュー - (page 2) - CNET Japan

しかしアニメビジネスはテレビCMで生計を立てるといったビジネスモデルではそもそも無い.もちろんJoostでアニメを配信することで,広告で食べていけるようになるかも知れないが,現在ではDVDを売って儲けるといったビジネスモデルである.
よってアニメへのアクセス権を売って儲けるというビジネスモデルを考える.


ハイブリッドP2Pを使って動画配信をすると,Winnyで問題になったような,ネットワーク内に一度アップロードされたデータが永遠と複製を繰り返され無制限に利用される,といった事態には陥らない.
上述したが,ハイブリッドP2Pでは,ネットワーク内にあるデータをある程度管理することができる.
誰がどの動画を持っていて,誰がどの動画を見ようとしているのかといった情報を収集でき,もちろん,ある特定のユーザだけが動画を視聴できるようにするといったアクセス権も管理可能だ.(動画の検索はサーバが行うのでこの時点で特定のユーザにだけ,ある特定の動画が検索結果に表示されるようにするといったことができる)
つまり図1のステップ1からステップ2までの間に,動画を視聴するための料金を請求するシステムにしてしまえばよいのである.




参考
Skype創業者がインターネットテレビ企業「Joost」を設立
Joostベータのレビュー - スポンサー広告P2Pビジネス P2PTV
ストリーミング - Wikipedia
P2P動画配信の「Joost」が台風の目に | 日経 xTECH(クロステック)
Joostインタフェースに見られるデジタル時代のテレビインタフェースの行方(PDF)
Peer to Peer - Wikipedia

*1:最近ニコニコ動画の処理が重い.ユーザ数の増加や,アップロードされる動画の量などにより負荷が掛かりすぎているのだろうけど,こういった問題は解決できる.また,ニコニコ動画の経営なんかを見ても,なかなか高質なサービスを提供するのはお金が掛かりすぎるようだ.

*2:Gnutellaのデータ検索.このようにバケツリレーでデータを検索するので,検索結果に保証がない