物語消費

大塚英志が『定本 物語消費論』(2001年)にある概念。(『物語消費論――「ビックリマン」の神話学』1989年で書かれたものの復刻版)
この本は、正しいかどうかはともかくとして、今のおたく文化を語る上でかなり重要な位置を占めている。ここで簡単に「物語消費」について説明するが、出来れば本を読んで貰いたい。

「物語消費」は80年代の終わりのヒット作(特に『ビックリマンチョコレート』)を分析し、その商品の特殊性や消費のされ方の特殊性を説いた消費社会論。
おたくの消費行動を分析する時にも、よく利用される考え方。

消費されているのは、一つ一つの<ドラマ>や<モノ>ではなく、その背後に隠されていたはずのシステムそのものなのである。しかしシステム(=大きな物語)そのものを売るわけにはいかないので、その一つの断面である一話分のドラマや一つの断片としての <モノ>を見せかけに消費してもらう。このような事態をぼくは「物語消費」と名付けたい。(定本 物語消費論p14)

ここで改めて簡単に要約しておけば<物語消費>とは次のような特徴を持つ。
1. <物語ソフト>ではなくモノないしサービスが消費の直接あるいは見せかけの対象となる。
2. そのモノ及びサービスは<物語>によって秩序付けられるかあるいは秩序付けられるべく方向が与えられている。
3. 消費者は消費行動を通じて<物語>を擬似的に創作するか体験ないし演じる。
4. 物語消費の世界では、その世界を管轄する管理人=ゲームマスターが必要になる。(同作p33)

定本 物語消費論 定本 物語消費論
大塚 英志 (2001/10)
角川書店

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