ラブライブ!二期は何を語り出すのか

待望の二期がすでに2話まで放送された。
二期への期待と今の私の気分をとりあえず出力していく。

挫折・蹉跌から立ち上がる物語(一期)とその残課題

二期で何を語るのか?を考える前に、まず一期について振り返り、やり残した部分は何か?を整理したい。


一期の物語は、簡単に言って「挫折・蹉跌から立ち上がる物語」であったように思う。
学校は入学希望者が減って廃校という危機にあったが、μ'sによって救われた。
穂乃果は自身の身勝手な行動や盲目さを悔やみ、「アイドルをやめる(ジョーで言うところのドサ回り)」が最終的に立ち上がった。

凛は幼少のころの些細な一言によって人前で女の子らしい服装をすることが出来なかったが、μ'sに入ったことをきっかけにして自信を取り戻した。

花陽は恥ずかしがり屋な性格を変える勇気を得た。

真姫は親の期待を背負い、自分に素直になることを忘れていた。
※ 二期の2話で「サンタクロースを未だに信じている」ことが露呈したが、この娘は親の言うことを素直に受け止めてしまう傾向があるようだ。

絵里は幼いころの蹉跌により、自分の意志で夢を追うことに対して消極的であったが、克服した。
※ 希は「エリチが頑張るのはいつも誰かのためばっかり」と指摘しているところから、絵里は「誰かの夢」に乗っかることで、仮に失敗しても自分は傷つかないようにしていた。

にこは一度アイドルグループを結成し、失敗した経験がある。

ことりは穂乃果や海未に着いて行くしかない己を変えようと努力する。


このように一期では各人いろいろな壁を乗り越えてきた。
しかし、ここまでで以下のような疑問が生じる。

  1. 海未・希の挫折・蹉跌は何だったのか?
  2. 真姫、絵里、ことりは自身の蹉跌・挫折を乗り越えられたのか?
1. 海未・希の挫折・蹉跌は何だったのか?

海未はことりのように「人に着いて行くしかない己を変えよう」という命題はない。
むしろ、積極的に穂乃果を崇拝し、自身で考えたり、変わろうとしたりすることを放棄しているように思える。
「ですが、穂乃果は連れて行ってくれるんです。私やことりでは勇気がなくて行けないようなすごいところに」

そーゆー意味で、海未の挫折・蹉跌は、穂乃果に出会い、自分が「穂乃果に勝てないことを悟った時点」ということになり、その後、自身の力で立ち上がるのではなく、穂乃果のスリップストリームに付くことを選択している。
ただし、こうやって自分の才について受け止め、卑屈になるのではなく、ありのままを認めるというのは、一つの命題ではある
分かりやすい「乗り越える壁」という形ではないけれど(卒業後、穂乃果の後ろに居られなくなった時にどうするのか?ってのは分かりやすい課題だけど)。
※ 一期3話で「恥ずかしがり屋の海未」という課題が存在したが、個人的にこれは壁としては機能していないと思っている。


次に、希は物語上、μ'sメンバーを教え、導く母のような役割を担っているが、分かりやすい自身の課題(乗り越えるべき壁)が明示されていない点で海未と共通している(すでに蹉跌を乗り越えた者を体現しているのかも知れないが)。
また、この娘は海未のように穂乃果に自身の夢を預けたわけではなく、「占い」に夢や希望を代弁させている。
※ この「占い」がどの程度希の本心を反映しているのかよくわからないが……
しかし、一体何故彼女は「占い」という皮を被り、自身の言葉で夢や希望を語ろうとしないのかは不明だし、もしかしたら、絵里と同じように「自分の言葉で語らない」ことによって、何かから身を守っているのだろうか?

2. 真姫、絵里、ことりは自身の蹉跌・挫折を乗り越えられたのか?

これもこれで問題のように思う。
真姫はちゃんと親と話して、「医者じゃなくてアイドルがやりたい」と告げたのか?(真姫がどの程度アイドルに本気なのかよくわからないので、未だに医者になるつもりなのかも知れんけど。というか、「アイドルになること」が真姫の本当の夢なのか?ピアニストとかそーゆーのではないのか?)
絵里はバレエをやりたいんじゃないのか?とりあえず手の届く簡単に達成可能な目標(アイドルになる)を選択しているのでは無いのか?
※ 絵里は一期13話にて「穂乃果に教えてもらったの、変わることを恐れないで突き進む勇気」と言っているので、バレエどうのこうのという話では無く、「恐れて逃げること」を克服できれば、目標は何でも良いのかも知れないが。
ことりは「穂乃果や海未に着いて行くだけの自分が嫌だ」と言っているが、穂乃果の意見に対してYESウーマン過ぎないか?
などなど、一期ではこれらの問題に決着をつけていないように思う。

一期と二期のμ'sの物語について(目の前にある課題と自分たちで設定する目標)

上記では、μ'sメンバー個人個人の問題に焦点を当てたが、もうちょっと俯瞰してμ'sという組織の課題や物語について書く。


一期の物語の課題は初め、「廃校を食い止める」ことであった。
そのためにμ'sを結成し、曲を作り、ラブライブへの参加を夢見た。
しかし、「廃校を食い止める」という課題は物語半ばで解決されてしまった。ラブライブへの参加という目標も失ってしまった。
課題や目標が無くなったところで出てきた命題が「何故アイドルを続けるのか?」という問いである。
これを彼女たちは、自分たちの気持ちを再認識することで団結した。
「学校のためとかラブライブのためとかじゃなく、私好きなの、歌うのが」(一期13話穂乃果)
「連れて行ってください。私達の知らない世界へ」(一期13話海未)
「アイドルが大好きなの」(一期13話にこ)

そして、二期1話では「アイドルを続けたい集団(μ's)」が「何を目標に活動を続けるか?」が課題として語られた。
アイドルを続けたい集団(組織)が、何を目標にして集団(組織)を維持し続けるか?と言っても良い。


これに対して、穂乃果以外のμ'sメンバーは、安易に「ラブライブに出場すること」を目標に設定しようとしたところ、
穂乃果が、Aパートのラストで「ラブライブに出場すること」は目標では無く手段だよね?何が目標なのかちゃんと考えようと提案している。
この提案をナチュラルにできるところが穂乃果のマネジメント能力たけぇ〜って思うところである。(参考:ラブライブの穂乃果ちゃんに学ぶ『マネジメント』 - WebLab.ota)
「この9人でラブライブ!に出られるのは今回しかないのよ」(絵里)
「9人で頑張った足跡を残したい」(花陽)
「だって可能性感じたんだ そうだ進め 後悔したくない 目の前に 僕らの道がある」(μ's)
※ 多分μ'sが会社になったら、これが社訓とかになるね

(これでOPに繋がるのとか上手すぎる。OPの歌詞はまさにこのテーマについて歌っている)


流れを整理するとこんな感じ。
一期では、(1) 「廃校を食い止めるため」の手段として集団(組織)を創り、 (2) 目標を失った後、何を根拠とした集団(組織)であるか?を明確にした(アイドルを続けたい集団(組織)という定義)。
二期では、(3) アイドルを続けたい集団(組織)を、集団(組織)として維持するための目標(9人で残せる最高の結果を目指す事)を決定した。

これからについて

この自分たちの課題を自分たちで設定して乗り越えるって物語は、そのまま、上で書いたμ'sメンバー各人の残課題と直結するように思う。
自分たちの夢とか未来とか将来とかってそうやって設定するものだし。


力強く成長していく彼女たちを見たい。