ラブライブ12話:私は何故花田十輝を信じられなかったのか?
あまりにも素晴らしかったラブライブ12話。
以下、ラブライブ12話の展開は、花田十輝の存在を意識していれば予想可能なものであったはずなのに、何故予想できなかったのか?について書く。
殴って、バラバラになって、それを乗り越えて真に解り合える
花田十輝はこの流れをよく書く。
今回のラブライブ12話(上段左)もその典型だし、アイドルマスターゼノグラシア20話(上段中央)、中二病(上段右)、H2O(下段左)なんかでも見ることができる。
主人公とライバルとの間で、殴り合わないと理解し合えない、殴りあった後は土手で寝転んで笑いあう……というのは、少年漫画でよく見かける風景ではあるが
花田十輝は、女の子同士で殴ったり、唐突に切れだして殴ったり、主人公がヒロインに馬乗りになってグーで殴りつける(H2O)という暴力性を伴っていたりとショッキングな形で描くことが多く、印象に残りやすい。
花田十輝のこの傾向は、昔から認識していて、けいおん!4話の脚本が花田十輝だと知った際、下記のような予想をしたことがある。
けいおん!(アニメ)は原作とテーマが違ってきているって話と花田十輝 - WebLab.ota
予想1:まぁ大方の予想通り4人が喧嘩する展開になる.
(原作にそんな展開はないですが,基本的に「人と人が理解し合うためには喧嘩(殴り合い)しなければならない」みたいな展開多いですからね,花田十輝先生は)
予想2:上述した唯と紬の対比が噴出する
「私,むぎちゃんとは違うもん!!」みたいな台詞を唯が吐く.
唯・律・澪の三人が何かが原因で喧嘩して,紬が唯を宥めに行ったときに,唯が「むぎちゃんには,わたしの気持ち…わかるわけない!!」って捨て台詞を吐いて走り去るって展開になる.
この予想は見事に外れたわけだけど
花田十輝という脚本家に対する認識はこのころすでに出来ていた。
そして、ラブライブ12話は、この予想にかなり近い展開になっている。
本エントリは、4年前予想出来ていたはずの花田十輝的展開を、ラブライブ12話を見る直前、まったく予想できなかったのは何故なのか?を考えることが主眼である。
花田十輝の今までの仕事から予想できた12話
4年前というか、1話の段階では、「殴って、バラバラになって、それを乗り越えて真に解り合える」展開も含めて、ラブライブ12話の展開がかなり見えていた。
ラブライブ1話放送後にこんなエントリを書いた。
ラブライブ!を花田十輝から読む - WebLab.ota
現在は、けいおんやらシュタインズ・ゲートやらで原作ファンの反感を買わずに、面白く、まともで、奇をてらったことをしない脚本家として認知されつつある花田十輝。
しかし、彼はもともとロックで暴力的で人を驚かすことに注力しているような脚本家であった。
(中略)
今後はどんな展開を見せるのだろうか?
個人的期待を含めて以下に今後ありえる可能性を列挙してみる。
- 実は主人公たちは廃校なんて状況に置かれてないし、高校生ですらないかもしれない。(根底の否定。H2O)
- ヒロインが最終的に「私、アイドルに向いてないなぁ」と言い出す。(宇宙をかける少女)
12話という最終話直前という土壇場で、「私スクールアイドル、やめます。」って言い出す展開も、、宇宙をかける少女で一度やっている。
まなびストレート!、TARITARI、ガルパンみたいに、最後にライブやって、その成功によって学校が救われる……という廃校メソッドを使うと思わせておいて
12話であっさり学校が救われてしまう展開も、H2Oや中二病なんかで見せた前提をひっくり返す技である。
もちろん、ラブライブに出場して終わるものだと思い込まされていたというのも、根底の否定技の一種である。
このようにラブライブ!12話の展開って、今までの花田十輝の仕事を追っていれば、ある程度予想できるものであったと言える。
しかし、12話を見た時、まるでおぼこのような反応をしてしまった。
11話で見えた「美しいラスト」というフェイント
ラブライブ11話で分かったこのアニメのメタ構造 - まっつねのアニメとか作画とか
何気ないワンカットだが、これには驚愕した。
これを見て気づいたのだ。
そう、OPこそがラブライブであるということに
そして、直感してしまった
「ああマズイ、これなら1クールでこのアニメの物語を終わらせられてしまう」と
放送枠が1クールだという噂は聞いていたが、ある意味安心していた。
「これだけ風呂敷を広げたものを、そんなに簡単に終わらせられるわけない」
「絶対に分割2クールだ」
しかし、このOP=ラストシーン(ラブライブでのライブシーン)
というメタ的なギミックを使えば、
このラブライブというアニメを綺麗に終わらせることが出来てしまう。
この美しいラストは私にも見えた。
最終話、OPなしで本編が始まり、ラブライブのステージにμ'sが立って、ほのかちゃんが「さぁ行くよ」みたいなこと言って、EDの代わりにOPが流れ始める。
そして、廃校が解決し、春に新入生たちが入ってくるシーンをカットバックして見せる。そんな最終話が……
問:花田十輝的展開を、ラブライブ12話を見る直前、まったく予想できなかったのは何故なのか?
答:11話に美しいラストを見せられたため、12話に対して準備を怠った。
そして、もう一つ。
問:花田十輝的展開を、ラブライブ12話を見る直前、まったく予想できなかったのは何故なのか?
答:まさか花田十輝が、花田十輝らしさを完全に取り戻すとは思っていませんでした。
これも大きな敗因の一つだ。
けいおん!、シュタインズ・ゲート、海月姫、レベルE、日常……そういった花田十輝らしさが感じられない作品ばかり作っていたので
彼のロック魂が死んでしまったんだという思い込みがあった。
そう、つまり、彼の才能を信じていなかったのである。信じきれていなかったのである。
私は花田十輝が好きだし、尊敬している。しかし、その愛はこの程度だったのである。
それがわかってしまった。なんて罪深きラブライブ12話。12話さえ居なければ、私は花田十輝を信じていると思い込んで要られたのに……
今後の展開について
もう、準備を怠らない。13話に備えて準備をする。
- 時を飛ばす(H2O、まほろまてぃっく〜もっと美しいもの〜)
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- ほのかちゃんがお母さんになってμ'sのアルバム見てるときに、スクールアイドル目指している娘に声をかけられる。