何故彼女たちはバイトをする必要があったのか? 〜けいおん!〜

さて第二話が放送されました.
絵コンテ・作画的にはいつもの京アニという感じで,一話ほど高揚するものがありませんでしたが,脚本には痺れました.
いや〜さすが吉田玲子だと言わざるを得ない.(山田尚子さんの指示かもしんないけどw)

原作の大幅改編

第一話もそうでしたが,第二話も原作からだいぶ違った展開になりました.
いや,第一話は原作の描いていない部分を膨らませて,展開した…程度でしたが,第二話改編は意味がありすぎる.
原作では
(図1)
という感じでかなりあっさりギターを手に入れてしまいましたが,アニメでは唯のギターを買うために4人でバイトをして,一度惚れたギターを買うことを諦める…という展開になりました.
今回は,何故このような展開になったのかを考えてみたい.

みんなのバンド結成への想い,そして唯の決意

漫画とアニメ第一話は基本的に変わっていない.

入部を断るつもりで部室に行った唯が,澪・律・紬の演奏を聞いて入部を決めるという物語.


ここで注目すべきところは,唯はまだ彼女たちと一緒にバンドをしたいとは思っていないところにある.

まだこの時唯は,「軽音部に入部する」ことを決めていても(マネージャーとしてとかそんな感じ),能動的に「みんなで一緒に演奏したい」とは思っていないのである.
で,原作ではこの後図1のように,あっさりギターを手に入れて,軽音部のメンバーになってしまう.
多少,ギターそのものに惚れているように見えるが,結局「みんなで一緒に演奏したい」という動機は描写されていない.
いつの間にか唯はみんなで演奏することを夢見ていて,ギターの練習に明け暮れている.
正直,唯がいつ「みんなで演奏すること」を求めることになったのか不明である.



この原作の不備をアニメでは見事に回収している.
第二話のギターを買うためにみんなでバイトをするというエピソードで,唯は,みんなと一緒にひとつの目標(音楽・バンド)に向かって努力するという楽しみを経験し,また,みんなが「惚れた楽器をどうしても手に入れたい」という唯の気持ちにも理解を示してくれる…同じ気持ちを共有できる仲間であることを実感する.
これにより,唯は

私自分で買えるギターを買う.
一日でも早く練習して,みんなと一緒に演奏したいもん.

と言い,惚れたギターを諦めてでも,バンドへの能動的な参加を切望する.


うん.これは非常に美しい原作の不備の補完だと思う.
非常に美しい物語になっている.




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