ヒャッコの疎外感と共同体を表現する演出について

第六話は,龍姫が虎子や雀や歩巳から仲間外れにされにされてしまったと思いこみ,孤独を感じ,思い悩む話だった.
この回でも面白い演出がたくさん出てきた.

目を見せない


Aパートの前半は虎子や雀や歩巳の目を見せない.見えそうで見えない.
漫画でもアニメでも,一番キャラクターの内面を表す記号として目があるのに,それをあえて隠すことにより,キャラクターの心理や本音がわからないようになっている.
目を隠すことにより,視聴者側もキャラクターの内面が読み取れなくなり,キャラクターとの距離を感じ不安になる.

疎外感を象徴する一本道と青空


エヴァでも使われることの多かった,どこまでも続く一本道が印象的に使われてた.
自分が孤独であることや,生き方が変えられない・いつまでたっても変わることのできない自分などを象徴する一本道.


また,青空も印象的に使われていた.「仲間外れにされたのではないか?」と感じるシーン(左)や「自分が思いのほか疎外感を感じている」ことを自覚してしまうシーン(中間)にも使われ,また事あるごとに青空のカットが入り込んでいた.
青空は清々しい気分や自由とか開放感を象徴するものでもあるけれど,影をより一層浮き彫りにするものでもあり,今まで考えないようにしてきたことを客観的に映し出すものであったりする.
後述するが,Bパートの閉鎖的で・親近感の沸く・共同体的なシーンとうまく対比されている.

寂しさを印象付けるためのFIXや三回パン


FIXとは「カメラは固定されている,カメラが動かない状態で撮影すること」なんだけれど,それを龍姫の孤独・疎外感を表すために使っている.
10秒間もカメラも動かさず,ただ歩いていくところだけを映すことで,もどかしさや,ある種の諦念を感じさせている.


また,特殊な三回パンを使うことによって,龍姫の感じている寂しさを表現していたりもした.

共同体

龍姫が感じていた疎外感が勘違いであったことがわかるBパートでは,とにかく閉鎖された空間に四人が描かれるものが多かった.

特に,同じカメラ位置で何度も出てくる,彼女たちの仲の良さを表すカットが印象的だった.
Aパートで孤独感・疎外感の象徴として使われていた青空や一本道とは正反対に,閉鎖された空間に彼女たちをまとめて描くことで孤独とか疎外感とは無縁なシーンを作り出すことに成功している.

今後

エスカレートしていくアニメは楽しい(まかでみ・WAっしょい!とヒャッコ) - WebLab.otaのコメントで指摘されているが,出崎的演出(画面分割・三回パン・ズーム)→新房的ば記号的演出→細田的演出(FIX)と推移して来ている.
次は何だろう?ワクワク