ヒャッコは本当に演出を楽しむアニメだ

ヒャッコ 第一話の画面分割まとめ - WebLab.otaヒャッコと出崎的演出について - WebLab.otaなんかで語ってきたことの続き

文字を使った演出

第5話は文字の演出がたくさん出てくる回だった.ざっと挙げるとこんな感じ.

いろんな形の文字を使った演出てんこもり.いやぁ実に壮観だ.

文字を使った演出といえば

「文字を使った演出」と言えば庵野秀明監督がすぐに思い当たる.EVAでも使ってたし,トップでも彼カノでも頻繁に使われていた.

これって言ってしまえば,作画をケチる効果がある.
というか,そもそも出崎統が良く使う「画面分割」や「三回パン・三回ズーム」といった演出も作画をケチるために使われていた部分がある.
(昔のアニメ,特に手塚さんのアニメは作画的にきびしくて(手塚さんは漫画でもそうだけど,とにかく仕事を遅らせる人だったらしい),そーゆー状況を「どう演出で誤魔化すか?」ってところが演出家の腕の見せ所だったりした)

カットバック

Bパートでは文字の演出に加えて,カットバック(異なる場面のシーンを交互に映すこと)が印象的に使われてた.

虎子と潮がカラオケに行く一連のシーン.
まず,「カラオケに行こうか」という話になって,カットバックし歩巳と龍姫の音楽の授業風景が描写される(音楽=カラオケ).
で,またカット変わって,虎子と潮が入ったカラオケボックスの部屋番号が写る(しかもこの後の彼女たちの悲惨な結末を暗示させるかのような不吉な数字).
虎子と潮がお互いの歌唱力について詰り合いになって,雰囲気が悪くなったところで,またカットバックして歩巳と龍姫の体育の授業風景が描写される(体育=喧嘩).
で,喧嘩のシーンに戻ってくる……って感じ.
(虎子と潮の関係が好転することを暗示させる「河に写った逆転している町」のカットを入れるところが憎い)

演出を楽しむアニメ

このヒャッコというアニメは基本的にあまり動かないアニメだ(動いてる部分もあるけど).
だけど,動かないからこそ演出に目が行く.というかここまで来ると,演出を見せるために動かしてないって言った方が正しいように思えてくる.


しかも,第5話はヒャッコ 第一話の画面分割まとめ - WebLab.otaで紹介した画面分割を一切使っていない.あれだけ使っていたのに.
たぶん,これは「今回は文字を使った演出とカットバックを楽しんでください」というメッセージだと思う.


製作者サイドの皆さん!そのメッセージしかと受け取りました!全力で演出を楽しませて貰います!!



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