「乃木坂春香の秘密」で見る市民権を得る前のオタク像

先日放送された,「乃木坂春香の秘密」の第3話を見ていて,思いついたことを書く.


乃木坂春香の秘密」の第3話では,乃木坂春香が「オタクである」ことが世間に露呈してしまいそうになるのだが
このとき,世間がオタクに対して行うバッシング・偏見・差別・迫害

「オタクはひきこもって,ネットで愚痴ってればいいんだよ」
「良い年して,アニメなんか見て・・・」
「オタクなんだって…きもーい」

と,それを必要以上に恐れる乃木坂春香…という構図が,「市民権を得る前のオタクと世間」,しかも「周りに同じオタク友達が居らず,地方に住んでいるオタクと世間」の縮図に見えて仕方がない


乃木坂春香の秘密」で描かれている世界は,電車男以降,市民権を得たオタクが,「らき☆すた」に象徴される「オタクを卑下する世間がいない世界」・「コンプレックスを持たないオタク」を描くことで癒されてみたり,オタクに遅れること数年で,腐女子も市民権を獲得しようと頑張ってみたりしている…『今』ではなく,もっとずっと昔のことなんだろう.


もちろん,今でもこういった形でいじめられることはあるんだろうけど
チョイオタ」なんて言葉がファッション的にモテ囃されたり,ネットに繋がればすぐに同じ趣味の持ち主と出会えたり,「オタクになるのにコンプレックスを必要としなくなった」と言われたり,オタクであることを肯定し居直ってしまう人やキャラが多い現状で
乃木坂春香のように,同じ趣味を持つコミュニティにも所属できず(そーゆーコミュニティが自分の近くに無い),たった一度*1のミスで

「もうお終いなんです!放っておいてください!」
「だってこういう趣味に対して大抵の人は否定的な感情を向けるものです!」

と絶望するのは難しいのではなかろうか.

それよりは,世間のオタクに対する理解がひどい状態で,深夜テレビもほとんど映らない地方に住んでいて,オタク友達も居らず,唯一の同趣とのつながりが,アニメ雑誌の投稿ページとかラジオ……みたいな10年以上前のオタク像として見た方が無理がない.(しかも地方なので,バレたら「○×さんの息子さんオタクなんですって」「本当ですか?気味が悪いわね」みたいな噂が一瞬で広まること必至w)


そう考えると,「乃木坂春香の秘密」のキャストの古さ(キャストだけ見れば,4年ぐらい前のアニメに思えてくる)や,乃木坂春香腐女子ではなくアキバ系であることにも納得(?)がゆく.
キャストが古いのは,世界観が古い(4年なんかじゃとても足らないぐらい昔だけど)…ことを意識しているからだろうし,乃木坂春香腐女子ではなくアキバ系であるのも,腐女子が市民権を得るために戦いだすより,もっとずっと昔のことであるからじゃないか?

乃木坂春香の秘密 ED---ひとさしゆびクワイエット!


(EDが本編か……)

*1:実は二度めらしいけど