何故政治にネット民が参加できなかったのか?

何故政治にネット規制反対派の声が届かないのか? - WebLab.otaの続き
今回はネット民が政治的勢力になりえなかった訳を考えてみたい.(陰謀)

ネット民は政治に無関心

ネットユーザーが政治に消極的、というより60年代以降生まれの僕らが政治に消極的なのだろう。そしてネットユーザーのほとんどがこの世代で占められている。だから、誰も政治への参加方法を知らない。
何故政治にネット規制反対派の声が届かないのか? - WebLab.otaはてブ

のように世代論で語るのもよし,ネット論で語るのもよし.

政治に対して圧力になるぐらい大きなネット企業が日本で生まれなかった

ネットの志を持っていて,ネイディブで無い人(ネット民で無い人)の価値観を忌み嫌うGoogleのような企業を生み出せなかった.

ホリエモンショック

政治的勢力になりえなかった訳というよりは「政治的勢力になりえたチャンスを取り逃がした」感じである.
これは今IT社長やブログでカリスマ的地位に立っていたり,発言の影響力が十二分に見て取れるほどの人たちに対して,「選挙に立候補してみないか?」というお誘いが政党からない…という前提を置くが,やはり結構大きいと思う.
どう見たって能力が無いであろう人でも,女性議員が流行ったら,二番煎じがポコポコ生まれてくるし,プロレスラーや芸人でも政治家になってしまえる時代なのだから,堀江氏があのまま何事も無く当選して,特に大した仕事もせずにそこそこの成果を上げてくれさえすれば,「次はIT業界人を政治家に!」という政治家の短絡的思考を手玉にとって,IT業界人やアルファブロガーや,果てはその辺のプログラマーまで騙くらかして政治の中心部に送り込むことができたかも知れないのに……
悔やまずにはいられない.

民共同プロジェクトがことごとくうまくいかなかった

これは佐々木俊尚氏の「ネットvs.リアルの衝突 誰がウェブ2.0を制するのか」で書かれているのだが

情報大航海プロジェクトに対しては,ネットの世界から大きな批判が巻き起こった.(中略)「(中略)以前,(時価総額十兆円という)グーグル対抗の検索エンジンを日本で作るといって数十億かける,という経産省ドンキホーテ敵シナリオがリリースされたが,あれはいったいどうなったんだろう」(「産業突然死」の時代の人生論第三十六回,大前研一
(中略)
「(中略)二十年前,当時の通産省が二百五十億円の税金を費やしてオープンソースOS・共通UNIXマシンを作ろうとして大失敗したシグマプロジェクトがある.(中略)」(ブログ「プロダクトマネジメントイノベーション」)
(中略)
こうした批判の背景には,「これまで政府が主導した官民共同プロジェクトはことごとくうまくいかなかったではないか」という共通認識があるのは間違いない.
佐々木俊尚氏 ネットvs.リアルの衝突 誰がウェブ2.0を制するのか

という歴史がある.


つまり,少なくとも政府内部のITについて詳しい人たち(政治家よりはネットの可能性を信じている人たち)は大した手柄を立てていない…出世していない・十分な発言力を持つに到っていないのではないか?

民間企業もパソコンであまりいい思いをしていない

IBM産業スパイ事件 - Wikipedia
IBM産業スパイ事件(アイ・ビー・エムさんぎょうスパイじけん)とは、1982年6月22日に日立製作所(以下、日立)や三菱電機(以下、三菱)の社員など計6人が、米IBMの機密情報に対する産業スパイ行為を行ったとして逮捕された事件である。

や,再び「ネットvs.リアルの衝突 誰がウェブ2.0を制するのか」から引くが

こうして日本は一九九〇年代以降,半導体業界において一敗地にまみれた.DRAM市場でかつて八割以上のシェアを占めていた日本勢はほぼ姿をけすまでになったのである.
これが日本ITの「第一の敗戦」だった.
(中略)
ウィンテルはデファクトスタンダード――事実上の標準そのものであり,パソコンの強力なプラットフォームだった.日本のパソコンメーカーはTRONによってプラットフォームを奪おうと一度は仕掛けたのだが,スーパー三〇一条によって切り崩され,結果としてプラットフォーム競争に勝てなかった.「標準」を手中にできなかったのである.
日本企業は単なるパソコンのセットメーカーとして,九〇年代の十年間を過ごすしかなかったのだった.これが,第二の敗戦だったのである.
佐々木俊尚氏 ネットvs.リアルの衝突 誰がウェブ2.0を制するのか

という歴史がある.


だから,企業も親身になって手を差し伸べてくれない.



http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20080407/p1
インターネット規制法案をどう読むか? - CNET Japan