サイバースペース独立宣言

今更ながら,「ネットvs.リアルの衝突 誰がウェブ2.0を制するか」を読んでいる.佐々木さんの本を読むのは「グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する」「次世代ウェブ グーグルの次のモデル」「サイバージャーナリズム論 「それから」のマスメディア(一部)」に続いて4冊目.
この本は,思想的に振れてて面白い.特にいろんなところから引用してくる言葉が面白い.(メモとして引いて見よう)

スチュアート・ブライト『すべてはヒッピーから』
「インターネットを経験した人は,自分が官僚主義の非常な世界ではなく,文化の薫り高い牧歌的な世界の中にいると感じるだろう.その世界は実のところ,六〇年代の残映だ.当時のヒッピー共同体主義自由主義が,サイバー革命の原型を形作ったのである.当時はそうした考え方は危険なほどアナーキーに見られていたけれども,しかし中心集権に対して嘲笑を投げつけたカウンターカルチャーは,権力の存在しないインターネットだけでなく,パーソナルコンピュータ革命も含んだ思想的基礎を形成したのだ」

サイバースペース独立宣言
 産業世界を牛耳る政府どもよ、お前たち肉と鋼鉄でできたか弱い巨人どもよ、私は新しい精神の住処、サイバースペースの住人だ。未来のために私はお前たち過去の人間に要求する。我々のことは放っておいてくれ、と。お前たちは我々にとって歓迎すべからざる客だ。我々の集まるところでお前たちの権威は通用しない。
(中略)
 我々が作りつつある世界はどんな人でも入ることができる。人種、経済力、軍事力、あるいは生まれによる特権や偏見による制限はない。

 我々が作りつつある世界では、誰もがどこでも自分の信ずることを表現する事が出来る。それがいかに奇妙な考えであろうと、沈黙を強制されたり、体制への同調を強制されたりすることを恐れる必要はない

 お前たちが考える、所有、表現、自我、運動、前後の関係(コンテクスト)に関する法的概念は我々には適用されない。それは物質に基づくものだからだ。我々の世界に物質は存在しない。
(中略)
 お前たちのますます陳腐化する情報産業界は、延命を図ろうとアメリカやその他のいたるところで自分たちの主張を世界中に通すための法律を作ろうとするだろう。その法律とやらは、イデアもまた別種の工業製品だとのたまう。それは高炉から流れ出た鋼鉄に比べてちょいとばかり高級などというものでは何らないというわけだ。しかし我々の方では、人間の精神が作り出せるものはすべて再生産できるし、また無償で無限回分配することができる。思考のグローバルな伝達にはもはやお前たちの工場の完成を待つには及ばないのである。
(中略)
 我々はサイバースペースに精神の文明を作り上げるだろう。そしてそれはかつてお前たち政府が作り上げた世界よりもはるかに人間的で美しいものになるに違いない

この宣言は1996年に書かれたものらしい……10年以上たっているわけだけど……いろいろ考えさせられるものだなぁ.
未だ先の見えない,「ネットvs.リアル」の衝突……一歩ずつでも美しくなっているのだろうか……