フューチャリスト宣言:オタク文化はどうなるのか?

フューチャリスト宣言」を読んでいる。梅田望夫茂木健一郎の対談が中心の本。

彼らは「正しいことは将来正しかったことが証明されるのだから、古い世代の人や保守的な人間、新しい価値観に対して悲観的な人は無視してよい」といった考え方を推している。
イギリス的なものの考え方であったり、シリコンバレーの精神だったりを紹介して、新しい技術・新しい考え方・新しい価値観を恐れず取り込み、イノベーションが起こることを恐れないことの素晴らしさや、楽天的にパラダイムシフトを歓迎するようなことを延々と話している。時に

僕がユーチューブに拍手喝采したのは、「リーガル・イシュー(法律問題)なんて知ったことじゃない」とでも言いたげなその姿勢に共感したからです。

なんて言ってしまう。まぁ私自身著作権なんて糞食らえ」って世界の人間ですから、まったくもってその通りだと思うわけですが
(ネットの世界で「著作権なんて糞食らえ」って価値観が出てきたのってここ数年だけど、オタク界ってそれこそ何十年も前から「著作権なんて糞食らえ」って価値観で成り立ってる。やっぱりネットの世界の今後を予想する上で、オタク社会をもう一度整理しなおすってのは有効なんじゃねーの?とか思ってしまうw)
しかし、彼らのようにテクノロジーだけ、技術の世界でのイノベーションに留まらず、文化や社会や人のアイデンティティなんかに直接関わるような影響を全て楽天的に、肯定的な立場で受け入れるのは如何な物か?
過去を見れば、今回と同じような状況を作り出したテクノロジーはたくさんあるけど、だからといって今回のパラダイムシフト、イノベーションを無条件で受け入れ、受け入れられない人間は「フューチャリストではない」として、無視するような考え方には共感できない。
第一章の題名は「黒船がやってきた!」になっていて

日本のエスタブリッシュメント、あるいは中枢にいる人たちにそれが不愉快だということはよくわかります。けれども、文明の力動には結局逆らえない。

と言っている。
確かに、長いスパンで見れば、結局逆らえないだろうし、流れは変わらないと思うけど、そういって開き直ってしまうのも思考停止状態にあるのではないだろうか?


彼らはテクノロジーよりの考え方だし、根っこがそうだから変化に対して肯定的なんだろうけど、そういったテクノロジーの影響を受けやすいオタク文化に足を突っ込んでいる人間としては非常に心配だ。(ビデオやパーソナルコンピュータやネットの影響はかなり受けてきてますから)
何せ黒船がやってきて、文化を屈折した形で輸出したり輸入したりして、シッチャカメッチャかにされた過去があるからだ。



参考
地域愛??2 | PLAYWORKS岸井大輔ブログ - 楽天ブログ
フューチャリスト宣言や茂木さんのことやはてなのことなどを酔っ払いながら書いてみる - My Life Between Silicon Valley and Japan
ネットで生まれる革命的信頼について - 記憶の彼方へ
http://d.hatena.ne.jp/sjs7/20070622/1182503256
少数精鋭の組織論(2007−016) - stiloの25時間目
Qualia Manifesto Japanese Page