写真トレースが漫画に齎した技術

http://guideline.livedoor.biz/archives/51093933.htmlトレース疑惑への雑感 - マンガLOG収蔵庫関連で一言.

親告罪

http://guideline.livedoor.biz/archives/51093933.html
いや、これは擁護できないだろw写真にも著作権があるんだから。許可取れれば別だけど。
(中略)
駄目に決まってるじゃん。気に入った写真みかけたら、編集に頼んで作者取材の為休載します。って言って同じとこに写真取りにいけばいい。

なんて息巻いている人がいるけれど,

「漫画トレースもお互い様だが……」 竹熊健太郎氏が語る、現場と著作権法のズレ (1/2) - ITmedia NEWS
 漫画界に大きな衝撃を与えたのは、末次由紀さんの漫画「エデンの花」のトレース疑惑。エデンの花の構図や絵に、「スラムダンク」(井上雄彦著、集英社)からの盗用が多く見つかったため、講談社は彼女の過去の全作品を絶版にすると発表した。きっかけは、検証サイトによる“告発”だった。
 「過去の作品まですべて絶版にするという講談社の処分は、漫画界からの追放と同義。あまりに厳しすぎるのでは」と竹熊さんは指摘する。「構図や絵のトレースは、ほめられたことではない話かもしれないが、漫画の歴史にはざらにある話。末次さんはちょっと極端にトレースはしているが、この人がだめならあの先生はどうか、ということになる」ためだ

著作権法違反の非親告罪化でパロディに危機? 「告発マニア生み出す」
「理論的には著作権侵害の可能性はあるが、著作権侵害親告罪著作権者が文句を言わない限り裁判にならない。業界内には“あうん”の呼吸があり、私も訴えられたことはないが、実際は薄氷の上を歩く感覚。良いか悪いかは別にして、ミッキーマウスサザエさんでは訴訟も起きているのでパロディは避けようとなる。」
(中略)
業界のあうんの呼吸でパロディが許されているが、非親告罪とすることで「告発マニアが訴えたり、警察が勝手に動いて逮捕することになる

という話で,告発マニアでしかない.

写真トレースが漫画に齎した技術

ついでに,写真トレースにだって技術がいるし,「どこを強調して,どこを描かないか」ってところが腕の見せ所なわけで,手抜きでもなければ悪いことでもない.

BSマンガ夜話 宮谷一彦

いしかわ:後のね〜漫画家劇画家は宮谷一彦のおかげで,苦労を,本当に多大な苦労をするようになるんだよ.これをね,毎週やられると,他の人もやんなきゃいけないじゃない.みんなで一所懸命写真撮ったり写真集から盗んできたりしてさ,これはどうやって描いたんだろうと思いながらね.一所懸命工夫して描いたんだよ.

(中略)
いしかわ:宮谷一彦は,後に残る漫画のテクニックをいっぱい開発してるわけ.一番大きいのは(中略)スクリーントーンを削る,ってのがある.(中略)スクリーントーンを2枚,3枚重ねる.スクリーントーンを砂消しゴムで消す.そういうのはね,全部この人が見つけたの.

(解説:この暗い部分はスクリーントーンを何枚も重ねて作っている)
(中略)
いしかわ:中間色にはみんな細かいあみを使っていた.(中略)ところが,宮谷一彦は,それをもっと大きいあみを使っていた(中略)こういう中間色の部分をおっきいドットの点で表すのは何かっていうと,これは新聞とか雑誌の印刷なんだよ.
大月:印刷した写真を表現しようとしていると.

こんな感じで,別に写真トレースだろうが,他人の撮った写真だろうが,ちゃんとクリエイティビティを発揮することができる.