「泣けるから」という勧め方が一番信用ならない気がする

アニメで泣く奴なんているの?:VIPPERな俺跡地

アニメやゲームをみて涙を流す。単純に、素晴らしいことじゃないですか。「何マジになってんの」とか「安っぽい涙だなぁ」と粋がってみせるのもアニメの楽しみ方なら、ダーダー涙を流してカタルシスに打ち震える、というのもアニメの楽しみ方。
(中略)
こういう涙に対して色々言う人がいるというのは知ってはいるけれども、やっぱり楽しんだモン勝ちというか、正直そういうのは羨ましい。おっさんの場合、澄まし顔ばかりしていると、いつの間にか涙腺の蛇口が堅くなってしまいやすい。
ガンダム00に涙する女性ファンが、ちょっと羨ましかった - シロクマの屑籠

うん.確かに「ダーダー涙を流してカタルシスに打ち震え」られる人を見ると,「いいな〜あんなに夢中になれて…」と思ってしまうことはある.
が,「澄まし顔ばかりしていると、いつの間にか涙腺の蛇口が堅くなってしまいやすい」というのは事実ではあるのだけれど,「澄まし顔をしている」ことと「泣ける」ことは対立項ではないし,別に「澄まし顔」をしていたって,泣けるものは泣けるということを覚えておいてほしい.

ある作品を「泣けるから!」と薦められ,「別に泣けなかった」と素直に言って返すと,「斜に構えているからだ」とか「冷めているからだ」と文句を言われたことが何度かあるが,私の”態度”を批判してもらっては困る.
なぜなら,年齢(ある集団)や精神状態や読書経験(いろんな作品を読み始めて間もないとか,ジャンル未経験とか)といった外部的な要因によって,不意に「泣いてしまう」ことはよくあることで,年齢や精神状態や読書経験に関わらず,「泣かせられる」力のある作品は少ないからだ.(だから私は「泣けるから」という勧め方を不用意にしない)


「超泣けた〜」だとか「全米が泣いた」だとか「全俺が泣いた」だとか……
「泣ける」と,とりあえず言っておけば,お客さんは入る(釣れる)らしいが,そう銘打たれた作品群の中で「本当に泣ける」作品が少ないことを経験上知っているのだから,作品を「泣けるから」という理由で人に薦める場合は,「全米が泣いた」程度に信用を失うことを覚悟しておいたほうがいい