BSマンガ夜話 第34弾のまとめ

ハチミツとクローバー

マンガ夜話屈指の回『ハチミツとクローバー』 - ピアノ・ファイア
 夕べ放送された「BSマンガ夜話」の『ハチミツとクローバー』回が、歴史に残るくらいの素晴らしく充実した内容で、感動です。
(中略)
 夏目房之介さんが最新の表現論でハチクロを語り、佐藤大さんが反復対比構造*1でハチクロを語り、しかもそのふたつの切り口が融合して作品のテーマにまで届いていく過程はまさに圧巻。

いや〜本当に凄かったですねぇ.

作者
  • 作者はマンガ好き
    • 同人上がりで,いろいろなシミュレーションが出来る人
  • 自分の立ち位置を客観的に見ることができている
    • 掲載誌に合わせた台詞やキャラクターを出してくる(CUTiEならファッション,リカさんとかはヤングユー・コーラスどんぴしゃ)
  • まだ底が見えていない
マンガ
  • 昔のマンガ…70年代・80年代の少女マンガっぽい


  • 視点の誘導も面白い(捻ったり,曲がったり,引いたり,跳ね返ったり)
読み方
  • 普通の人の読み
    • ふわふわした恋愛マンガ
    • 青春群像劇
  • 教訓・人生モノ
  • 表現論的
表現論的読み方
  • ハグちゃん怪物説
    • ハグちゃんは,創作というモンスターに取り付かれた化け物
      • パブロ・ピカソ→「俺にとってオンナは,女神かバスマットだ」(踏みつけにするか,尊敬するかしかない存在)
    • 山岡士郎から見た海原雄山
  • ハグちゃん非怪物説
    • 「生きる意味が何にかかってるか――だと思う.それが「恋愛」の人間もいれば,好むと好まざるとにかかわらず,何か「やりとげねばならないモノ」を持って生まれてしまった人間もいる.どっちが正しいとかは無くて,みんなその瞬間はもう,本能にジャッジをゆだねるしかないんだろうな」
    • このマンガの世界では,登場人物たちは皆同じ世界に生きている.
      • 「あらゆる人間がお互いに理解できないのだ」という諦念から始まるマンガもあるが
      • この作品は皆わかっている→だから文字化けも見える.(登場キャラクターがメタレベルで世界を共有している)

へうげもの

  • オタク的
    • 結構史実に基づいている
    • しかしそれを見せない

男組

作品
  • 右なのか左なのか?
    • ワルシャワ労働歌,ヤクザ映画,反権力,テロ,暴力肯定
    • 左翼の中の対立なども読める
      • コミューン系:コミューンを作って権力を奪取しよう
      • 先に権力を奪取しよう
    • 右も左も趣味?
  • 日本に中国拳法のイメージを定着させた
  • 少年漫画的対立構造
    • この作品以前の漫画では敵は肉体が無い
      • 敵は科学,非肉体
      • 正義は肉体.若者の象徴
    • →結果,手塚系の漫画家が少年漫画を追い出されたのでは?
    • この作品はマッチョだけで戦う
  • 7,8巻で池上が完成する
    • 様式的な絵を描かせたら日本で一番
    • 動き・構図力・コマ割がすごい下手



ゼミ「BSマンガ夜話」討議用資料:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ