漫画家は編集者から自立すべきか

これって,編集主導型の漫画編集に対する批判なのか? - WebLab.ota漫画編集者の仕事 - WebLab.otaの続き
(コメントで指摘されたけど,どうも私は編集擁護側の人間のようだ.ただ,片方の言い分だけ素直に聞き入れて,空気のような相手を叩くより,相手が見えているぶんやりやすそうだと思ったのと,何かと反体制・反権力な考えが嫌だったんだけど,「編集擁護側につこう」という意思があったわけではない.だから,それほど編集擁護側の意見として機能しないと思われる.)

前回は

漫画家と編集者は,密に連絡を取り合って,信頼関係を構築し,打ち合わせして,アイディアを考え合って,ネームのチェックを双方でやって…という関係が当たり前であるように思ってしまうかもしれないが,これは間違い.
(中略)
編集者にいろいろ求めすぎなのではないか?
(中略)
編集者側は編集者側で,「あいつら(漫画家)は年に億も稼いでいるくせに,俺たち(編集者)には寝る暇も惜しんで仕事をしろと言って来やがる.俺たちは安月給のサラリーマンなんだぞ?編集者は漫画家の奴隷じゃない!」って思ってるかも
漫画編集者の仕事 - WebLab.ota

と書いたけれど,今回はこれをさらに飛躍させてみよう.

漫画編集の必要性

だいたいマンガ家が期日までに売れる作品を上げてくれるなら、編集者は必要ないのです。元をただせば、締め切りを守れなかったり、放っておくと売れなさそうなものばかり描いたりするマンガ家が多かったから、彼らを監督するために派遣される人々が生まれ、それがそのうちに「マンガ編集者」という名前で定着したのではないでしょうか。
http://d.hatena.ne.jp/m_tamasaka/20080610/1213079977

というのは,些か乱暴であると思っているし

色々なひとの助けがないと、(例えば週刊漫画誌であれば)週に1本という異常なペースで漫画が創られてゆくのは不可能です。
 作画を手伝ってくださるスタッフさんの存在が不可欠ですし、担当編集者とはまさに二人三脚の形で「ものを創ってゆく」やり取りになります。
http://blog.livedoor.jp/toki5555/archives/50976319.html

とあるように,漫画に漫画編集やその他さまざまな人手が必要なこともわかっているけれど,しかし

今、小学館の漫画編集者で、担当している漫画の資料(写真や文献)を自らの足を使って集め、漫画家に協力している編集者はどれだけいるだろう?寝ないで自分の担当する漫画のアイデアを考える編集者はどれくらいいるだろう?
http://88552772.at.webry.info/200806/article_2.html

…これは,編集者の仕事なのだろうか?


コレやらせるぐらいなら,資料集め担当のアシスタントを一人雇えばいいし,アイディアを専門に考えるアニメの設定屋さんでもなんでも雇えばいいのではないか?
資料集め担当のアシスタントが不真面目であれば,漫画家は雇い主なのだから,説教するなりクビにするのは自由だ.良いアイディアを考えてこないアイディア屋さんも同様にすればいい.(たとえ,この文章が「それぐらいやる気のある編集者がいるのか?」という問いかけであったとしても)
もちろん,駆け出しの新人で,アシスタントすらまともに雇えないような場合は,漫画編集者に教育も兼ねる形で頑張ってもらうしかないけれど,ある程度のお金がある先生であれば,そういった編集者以外でもできる仕事はアシスタントでもバイトでも雇ってやらせれば良い.

編集者からの自立

 命かけてくださいな。
 そうじゃないひとは、去ってくれた方が、互いのため、世界のためです。
http://blog.livedoor.jp/toki5555/archives/50976319.html

という非常に求道的な意見もあるようですが,その作品の売れ行き如何によって人生が決まってしまうわけでもなく,売れたからって印税生活できるわけでもない,ただの一介のサラリーマンである編集者に,ココまで求めていいものなのだろうか?
もちろん仕事としている以上,無責任な仕事をしてもいいとは思わないが,立場が違いすぎる.


やっぱり編集者にいろいろ求めすぎだろう.
「編集者は眠るのさえ惜しんで自分たちに協力すべきで,命をかけるのも当たり前だ」みたいな意識でいるのは不味いのではないか?もちろん眠る暇を削って,命をかけて協力してくれる漫画編集もたくさんいるんだろうけど(対価が支払われるわけでもないのに良くやるよ…と思う).