今話題の同人ゲーム ひまわりをやってみた

(ネタバレなしで書いてるつもり.あったら御免.ネタバレ有りのレビューも書きたい)

http://d.hatena.ne.jp/hasidream/20080506/1210062904
かつて、同人業界から大ヒットを飛ばした奴らがいた。奈須きのこの「月姫」や、竜騎士07の「ひぐらしのなく頃に」などなど……。
(中略)
そして、コミックマーケット73にて発売された『ひまわり』も、この2作品に匹敵するほどの面白さがある。

私がこのゲームを知るきっかけとなったのが,このエントリだ(5月7日にはてブしてある).しかし,このときは「またバカが騒いでるんだろうなぁ」程度にしか思っていなかった.
が,13日に

http://d.hatena.ne.jp/kagami/20080513#p1(改行をいくつか削除した)
ぶらんくのーとのSFエロゲ「ひまわり」をコンプリート。素晴らしい作品であった!!
A・C・クラーク「幼年期の終わり」やグレッグ・ベア「ブラッドミュージック」のように通常の善悪の倫理規範をぶっちぎるシナリオ展開が実に素晴らしい。
SFならではの醍醐味を味わうことのできる大傑作です!!素晴らしい出来!!
特に日向葵ED「向日葵」は最高だったな…。死を超える妄執としての愛が見事に描けていて、震えがきたよ。(引用者注:これホント.マジ震えた)

というエントリを見つけた.
このときのはてブコメントには「なんかさいきんひまわりをよく見るな・・・結構人気あるのね・・・しかもSFですか・・・・・・・・・・・・・・やるか」と書いてある.
「クラーク!?グレッグ・ベアだとぉ!!?バカな!!」っと思ってた.
その後,「ひまわり」は海外でも人気らしい - 僕夏とシンフォニック=レイン好きの住処同人ゲーム「ひまわり」が「月姫」「ひぐらし」に続くムーブメントにならない(かもしれない)3つの理由 - やや最果てのブログなどをはてブしながら,順調に盛り上がっていくの感じ

「ひまわり」、SFとしても良くできているので、そちらも評価されて欲しいな…。
「ひまわり」はSFとしてもとても優れた作品ですし、その力が、日本SF界の閉鎖的世界を壊して風通しをよくする一環となってくれたらいいなと思いますね…。

というエントリで腰を上げた.24日から26日にかけてやってみた.
で,以下感想.

SFとして

「SFか?」と聞かれたら,「う〜ん…どっちかっていうとキッチリエロゲになっているから…」っとドモってしまうが,SF的アイディアが1つある.(これ非常に重要)
このアイディアは,おそらく今までに考え出されていない,新しいアイディアである.少なくとも私は知らなかった.
非常に面白いアイディアで,感動したし震えた.出てきたときは背筋がゾクっとしたし,心底感心もした.


が,身勝手な読者の意見だが,もうちょっとネタとして掘り下げてほしかった.ちょっとアイディアの使い方が甘い感じがした.

エロゲとして

先にも書いたが,非常にエロゲエロゲしてる.
文章とか,主人公の考え方とか展開とかとりあえずカッコいい台詞を書きたがるところとか,イチャイチャするシーンが延々と続いて遅々として話が進まずイライラするところとか言ってることとやってることが違ったり,恥ずかしくなるぐらい青臭いことを平気で言うところとかパロディとちっとも笑えない笑いで話を転がそうとしたりだとか……
という具合に,非常にエロゲ的である.正直このエロゲ部分(エロゲそのもの)が苦手な人間にとってはストレスがたまる(特に第一章と第四章).
しかし,これはエロゲが持っている質なので,ここにケチを付けても仕方がない部分ではある.


というより,エロゲとしてキッチリ作られていることを評価してしまいそうになるぐらい,キッチリエロゲ.(だと思う)

パロディ

まぁ,パロディはエロゲの要素の一つだし,同人ゲームだからってのもあるだろうけど,たくさんある.
ちょっと台詞を借りてくるとか,絵とかシチュエーションとか,エロゲ的手法だとか…SF的・オカルト的・デニケン的知識だとか…学問・哲学的な何かだったり,さまざま.とにかくちりばめてある.特に第一章はその傾向が強い(おそらく,全方位の客に向けてメッセージを発信している).

雑感

プレイ時間は,ちょうど20時間ぐらい.
イチャイチャしている時間が長い(イチャイチャしてるくだらないシーンの癖に結構伏線張りやがるので,読み飛ばせない).しかし,掘り下げる時間が少ない(アイディアが面白かったぶん勿体無い.もっと展開させてもよかった).
話があっちゃこっちゃに飛ぶので(意味のある飛びと意味のない飛びがある),まとまっていない感がある.(テーマがたくさん出て来すぎてて,絞りきれてない?)
カッコいい伏線回収が多いけど,矛盾も多い.


月姫ひぐらしと並べる人が多いけど,この作品はコントロールされている部分や作者が冷静に照れているような感じもするので,ちょっと違う感じがする)