続ニコニコ動画で行われているオープンソース現象 オープンソースコンテンツ

ニコニコ動画で行われているオープンソース現象 組曲『ニコニコ動画』 - WebLab.otaの記事が予想以上の反響を呼び,多くの皆様に読んで頂けたらしく非常にうれしく思っております.
はてなダイアリーを利用しはじめてから3週間弱にして,はてなブックマークの恐ろしさを知りましたw
集客力という点でもそうですが,皆様から寄せられるコメントのリテラシーの高さって云ったらないですね.非常に興味深い指摘が本当に多いです.(これはコメントやトラックバックにも言える)
ネット上に存在する知的リソースがどんどん集まってくるような感覚…いや本当に面白い.
このブログの名前を「WebLab(ウェブの研究室)」としたのは,研究室のように知的生産性の高い場を作ろうという意志を含めて付けたので,こういった状況になってくれたのはうれしいかぎりです.今後も自分の知的生産の場,皆様の知的生産性を高められるような場になれるように頑張って行きたいです.


またこの記事に対して個人のブログやHPで意見を書いてくれた方がいましたら,お手数ですがトラックバックを打ってもらえないでしょうか?このブログではアクセス解析を設置していない(できないようだ)ので,気づけてない場合があります.

フリーシェアワールド

ゆらぎの神話」みたいなフリーシェアワールドってのはオープンソースに近いですよね。
はてなブックマークより)

フリーシェアワールドとはフリーシェアワールドの提案 - 魔王14歳の幸福な電波id:Erlkonig 氏が提唱している概念のようだ.
このフリーシェアワールド(FSW)は完全に”オープンソースの概念を導入した創作活動”の一つであり,しかもFSWという定義まで作って,実際に創作して見せているという,実験的で先進的な活動だ.断っておくと今回も,ニコニコ動画とライセンス - WebLab.otaで述べたが「いつ頃からオタク文化オープンソース的な創作活動がなされたのか?」という問題は検証不可能だと思っているので言及しない.


このFSWという活動は実験的で先進的ではある.しかし,どれだけの規模にまで発展し,影響力がどれほどの物なのかはわからないが,私の見たところ,ニコニコ動画のように「イノベーションを引き起こしてくれるのではないだろうか?」という期待を持つほどの広がりを持った活動ではなかったのではないだろうか?*1
しかし私は,ニコニコ動画で行われいる創作活動には,イノベーションを引き起こしてくれるのではないだろうか?」という期待を持っている.大げさに言えばGoogleAmazon.comYouTubeのような既存の価値観をぶち壊してくれるような革命者たる資質を感じ,創作活動に革命を齎してくれるのではないか?という期待だ.


ニコニコ動画で行われているオープンソース現象の歴史的価値や新しさは,「ムーブメントの大きさ」「アイディアの連鎖反応の速さ」そして「ビジネスモデルとして完成を模索している」点だろう.
「ムーブメントの大きさ」と「アイディアの連鎖反応の速さ」については多少ニコニコ動画で行われているオープンソース現象 組曲『ニコニコ動画』 - WebLab.otaで説明している.
「ビジネスモデルとして完成を模索している」というのは,たとえばニコニコ市場を挙げることができる.ニコニコ市場については404 Blog Not Found:究極のアフィリエイト、ニコニコ市場ニコニコ市場のWEB2.0加減について - 花見川の日記なんかでいろいろと考察されているし,問題点もあるけれど,こういった試みはイノベーションを引き起こす上で必要なことだ.(これについては後日改めて語りたい)


ここでコミックマーケットでの創作活動もオープンソース的ではなかろうか?という指摘があるかもしれない.確かにコミックマーケットではアイディアの連鎖反応も起こっているし,ムーブメントの大きさとしても申し分ない.ビジネスモデルとして完成を模索している点でも,企業にも企業ブースを割り当てて出展してもらい,ビジネスチャンスを広げるといった活動をしている.しかしオープンソース現象では空間的制約や時間的制約からも解放されているべきであるので除外したい.

オープンソースコンテンツ(OSC)

話をニコニコ動画でのオープンソース現象に戻すが,ニコニコ動画でもFSWに習って,簡易ではあるがライセンス(使用許諾条件)を作ってみたらどうだろうか?
解りやすくオープンソースコンテンツ(OSC)というライセンスを提唱したい.これは

企業や既存の作品を元ネタとしない”ニコニコ動画オリジナル”な作品が発表され、それによってオープンソース現象が起きた時に、”オリジナルの発表者”や”過程で関わった製作者(オリジナルの発表者ではない)”が著作権を主張して、他の人々の創作活動の障害になる恐れがあるし、以前2chで問題になったことがあるがギコ猫騒動1 - 連載物の書庫のように企業絡みの騒動が起こるかもしれない。
ニコニコ動画とライセンス - WebLab.ota

といった事態を回避するためでもあるし,製作者の意思表明のために考えて行く.


ここでコンテンツという言葉を使ったのは,作品を含めて,”コンテンツとしてみなせるものはすべて”という広がりを見せたかったからだ.作品だけに限定してしまうと,歌っている人や製作者をネタにすることができなくなってしまうし,ニコニコ動画では何がネタにされるかわからないので,限定を避ける意味を持っている.
コンテンツとは”製作者”や”作品”を含めて,ネタになりそうなものはすべてを指す.(いい言葉が思いつかなかったのでとりあえずコンテンツという言葉を使った)


パッと思いつく程度に以下のようなライセンスを考えてみた.

OSC (オープンソースコンテンツであることを示す)
(以下はオプション)

  • -by

(コンテンツを創作した人(著作者)の氏名,コンテンツのタイトルなど,コンテンツに関する情報を表示しなくてはならないことを表します)

  • -i

(コンテンツを改変して利用する場合,改変することで新たに生み出されたコンテンツは,当初のコンテンツのライセンス条件を継承し,同一の組み合わせでライセンスされなければならないことを表します)

  • -not$

(営利目的で利用してはならないことを表します)
の条件の下でコンテンツの使用,複製,改変,(複製物または改変物の)再頒布を認めている

クリエイティブ・コモンズを参考にして,こんな感じのライセンスを考えてみた.(http://www.creativecommons.jp/faq/1cc/post_14/
使い方は,CUI環境やコマンドラインを入力する感じの書き方で

OSC -by -i

といった表記を解るところにする(ニコニコ動画であるならばタイトルの下のコメント欄にでも表記する).すると

「このコンテンツは,オープンソースコンテンツであり,作品を創作した人(著作者)の氏名,作品のタイトルなど,作品に関する情報を表示し,作品を改変して利用する場合,改変することで新たに生み出された作品は,当初の作品のライセンス条件を継承するならば,コンテンツの使用,複製,改変,(複製物または改変物の)再頒布を認めている」

となる.もう一つ例を示すと

OSC -not$

といった表記をすると

「このコンテンツは,オープンソースコンテンツであり,営利目的で利用しないのであれば,コンテンツの使用,複製,改変,(複製物または改変物の)再頒布を認めている」

となる.
おそらくこのオプションだけでは具合が悪くなる場合があるだろうから,オプションにどんどん追加する形で対応するのはどうだろうか?破綻を来たしたら”OSC2”といった感じでバージョンを変えて対応する.
(”-notP2P”で「P2Pへの配布は認めない」とか,”-URL”で「リンクを貼る」とかいろいろと)


ニコニコ動画ではパロディにする時,ネタにした動画を申告する*2といったモラルが既に存在するけど)
もしOSCに対して,提案や修正すべき点がございましたら,コメントやTBやはてブにしてください.*3

感想

こんなライセンス(使用許諾条件)が一般化するとは思えないが,考えてみるのは面白かったし,こういった草の根活動をずっと前に行っている例(FSW)を見て勇気付けられたのもある.
またこういったライセンス(使用許諾条件)を必要とする製作者が多く登場するといいな〜という思いもある.

このブログを紹介してくださったニュースサイト

(私の確認できた範囲です.漏れている場合がありましたらご一報くだされば幸いです.)
http://www6.ocn.ne.jp/~katoyuu/
つかれた
誠天調書
http://homepage1.nifty.com/maname/
あにゅ~る
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雪花乱舞 - 二時限目 -

*1:ゆらぎの神話 ポータルで今もガンガン活動しているようだ.どうなってるんだろう…知りてぇ〜

*2:リストにしてまとめたり,元ネタ動画へのリンクを貼ったりしている

*3:コメント間で議論なんかをしてくださると本当にありがたい