漫画史を語る(8):つげ義春

ねじ式 ねじ式
つげ 義春 (1994/12)
小学館

この商品の詳細を見る

救いようのない厭世的で虚無感または虚脱感を訴えた作風の漫画(『無能の人』シリーズなど)や『ねじ式』『ゲンセンカン主人』に代表されるようなシュールレアリズム風の漫画を得意とする。このことが日本の映像・演劇などの芸術家の創作意欲を刺激するのか、作品の映画化・テレビドラマ化も幾度となく試みられている[中略]『ガロ』を通じて全共闘世代の大学生の読者を獲得。1970年代前半にはつげブームを招来した。後の作家に大きな影響を残しており、現在でも往々につげ作品のパロディ漫画を見ることが出来る。また、漫画家以外の多くの芸術家、知識人、有識者にも多大な影響を及ぼしている。(つげ義春 - Wikipedia

以上のように、評論家やインテリに受けのよい作家。文学でいうところの純文学に対を成すものとして、漫画青年の支持を受けた。(”つげ太宰体質”という言葉もあるように、漫画における太宰治として評価をされたりする。)『ねじ式』の有名な腕を押さえている絵は『エヴァンゲリオン』の綾波レイで同じような絵がある。

漫画史に置けるつげの位置は、手塚の構築した漫画表現を60年代から70年代にかけて解体し、新しい表現を作り出した作家となる。物語を語るため以外にコマを使ったり、意味の無い背景を創った。それにより、心理描写を表現し、内向的自我を執拗に描いた。その当時、”人間の内面”を発見した漫画家の一人。